シュートが決まる位置はどこ?ビエルサラインについて解説

ビエルサライン 戦術

サッカーで勝つためには何が必要でしょうか。テクニック、フィジカル、メンタル、戦術などいろいろな答えがあると思います。しかし根本的な話をすると、サッカーというスポーツは試合終了までにゴールを多く決めたチームの勝ちです。

「当たり前だろ」と思うかもしれませんが、この当たり前が一番大事です。ゴールをたくさん決め、相手には決めさせないことが重要です。

ではどんなシュートを撃つのがいいでしょうか。ここで動画を見てみましょう。

ゴールキーパーがペナルティエリア外へクリアしたボールをそのままオーバーヘッド。イブラヒモビッチによるスーパーゴール。

ヤバイゴールですね。こんなシュートは他に見たことはないと思います。これは2013年FIFA年間最優秀ゴール賞(プスカシュ賞)に選ばれた、元スウェーデン代表・イブラヒモビッチのゴールです。

毎試合こんなシュートを決めるのはイブラヒモビッチであっても不可能です。ゴールをたくさん決めるには、こういった難しいシュートを狙うのではなく、より入りやすいシュートを撃つことが重要になります。

では入りやすいシュートとは具体的にどういうものでしょうか。ここではシュートを撃つ位置に注目して解説していきます。

スポンサーリンク

シュートを撃つ目安となるビエルサラインとは

アルゼンチン人監督ビエルサ。彼は戦術マニアとして有名で、あまりのマニアぶりに「エル・ロコ(変人、狂人)」というあだ名でよばれています。

彼が提唱したのがビエルサラインです。

ビエルサライン

ビエルサラインとは、ポストとゴールエリアの角を結んだラインのことです。この2本のラインの内側からシュートを撃つと入りやすいので、ここから撃つことが彼のチームの約束事となっています。

この記事ではここからのシュートがなぜ入りやすいのか、距離、角度にわけて検証していきます。

距離:ペナルティエリア内から撃つ

サッカーではペナルティエリア内からのシュートは入りやすいことはよく知られています。なぜ入りやすいのでしょうか。ここではシュート到達時間やゴールサイズ、人間の身体能力から検証していきます。

■シュート到達時間(11m、20m、30m)

ゴールからの距離。ペナルティスポット:11m。ペナルティエリア:16.5m。ペナルティアーク:20.15m。
11m:ペナルティマーク。16.5m:ペナルティエリア。20.15m:ペナルティアーク。52.5m:ハーフウェーライン。
ゴールからの距離到達時間
11m0.40秒
20m0.72秒
30m1.08秒
シュートは時速100kmとする。

■ゴールサイズと人間の身体能力

ゴールサイズ。
腕を広げた長さは身長と同じくらい。その場から届くのは左右30cmくらいとすると、2.5mくらいがダイブせず守れる範囲と考えられる。
ゴールサイズ7.32m×2.44m
ゴールキーパーの守備範囲2.5m
人間の反応速度0.25~0.35秒
ゴールキーパーが3.66m(ゴール中央からゴール端まで)
ダイビングするときの到達時間※
0.5秒
※PK戦の映像を検証しておおよその時間を算出。

ゴールキーパーがシュートに反応してからゴール端への到達時間は0.75~0.85秒ぐらいと考えられます。なので結論は以下のようになります。ペナルティエリア内からシュートすれば、キーパーは反応する時間がないことがわかります。

11m(0.40秒):シュートと同時に飛べば、甘いコースなら防げる。

20m(0.72秒):蹴られた後に飛んでも間に合うが、予測しておかないと間に合わない。

30m(1.08秒):シュートコースを見てからでも間に合う。

角度:ビエルサラインの内側

シュートを撃つ角度によって、実質のゴールサイズは変わります。図を見てわかるように、ゴール正面からのシュートコースは大きく空いていますが、斜め30度からだとほとんどないことが分かります。

角度によるゴールの見え方。

■90°、60°、45°、32°からの実質のゴールサイズ

ここからは具体的にシュートコースがどれくらい狭くなるのか検証していきます。ここではゴールポストから11mの距離。角度90°、60°、45°、32°からの実質のゴールサイズを見ていきます。

シュート角度と実質のゴールサイズの関係。
赤線が実質のゴールサイズ。キーパーはシュートがゴールに入るのを防ぐことが目的だが、実際にはこの赤線に飛んできたシュートを防ぐことでゴールを守っている。キーパーは前進しボールに近づくことで、実質のゴールサイズをさらに狭めることができる。
シュート位置実質のゴールサイズシュートコース
ペナルティスポット7.32m2.41m
90°6.37m1.94m
60°4.46m0.98m
45°3.39m0.45m
32°2.43m0m
「距離」の項目で説明したように、ゴール幅7.32mからキーパーの守備範囲2.5mを引くと、キーパーの左右に2.41mのシュートコースがある。上の表はそれぞれの角度における実質のゴールサイズについて同様に当てはめたものである。

つまりゴール正面であるほどシュートコースは広く、45°(ビエルサライン)の外側だとほぼ0になります。

まとめ

ゴールを決めるためにはより近く、より正面からシュートを撃つことが重要です。ビエルサラインはそのための目安ということがわかりました。

この動画はレバンドフスキのゴール集です。どのあたりからシュートを撃っているか注目してみてください。

戦術
スポンサーリンク
シェアする
サクラダ