ドリブルはサッカー選手にとって一番の見せ場。スター選手のプレーを思い返すと、ドリブル突破からゴールするようなプレーが思い浮かぶと思います。
しかしサッカーにはそれ以外にも重要なドリブルがあります。今回は運ぶドリブルについて解説します。
抜くドリブル、キープするドリブル、運ぶドリブルとは?

サッカーには3種類のドリブルがあります。
抜くドリブル:マークをしているDFをかわして前進するドリブル。ドリブル突破。
キープするドリブル:相手にボールを取られないようにするドリブル。
運ぶドリブル:フリーのときにボールを前進させるドリブル。
運ぶドリブルを使う場面はこの2つ
では運ぶドリブルはいつ使えばいいのでしょうか。ここでは2つのケースを解説します。
数的優位でフリーなとき

数的優位で自分にマーカーがいないということはフリーな状態です。このとき運ぶドリブルが使えます。これによって運んだ先でも数的優位を作れます。
相手のマークが甘いとき

マーカーはいるけど距離があるときは運ぶドリブルが使えます。相手ゴール近くまで運んでから攻撃を仕掛けることができます。
なぜ運ぶドリブルを忘れるのか
フリーならドリブルでボールを運ぶ、一見当たり前なのに、なぜ忘れるのでしょうか。理由は現代サッカーの激しいプレッシングにあります。
1990年代以降プレッシングが主流になり、一人一人がボールを扱う時間が少なくなりました。そのためトラップしてすぐにパスを出す「2タッチプレー」が常識になりました。そのせいでフリーなのに2タッチ目にパスを出してしまうプレーもよく見られます。
死語となった50-70-100

50-70-100とは、各エリアでの「プレー成功率の目安」として使われていた数字です。
100:安全で確実なプレーをすべきエリア
70:チャレンジ、確実性のバランスを考えてプレーするエリア
50:成功率50%のプレーにもチャレンジするエリア
昔はDFはボールを奪ったらすぐクリアしていました。クリアせずパスをつなぐようになってからも、2タッチで安全に確実なパスをつなぐのが当たり前でした。
現代ではDFとGKでビルドアップすることが当たり前になったので、50-70-100は死語となりましたが、今でも重要な考え方です。現代でもDFの抜くドリブルは危険です。フリーになってから運ぶドリブルをするのが良いプレーです。
そもそもマーク、フリーとは?

ここであらためて考えたいのが、マークされている、フリーであるとはどういう状態なのかです。
マークとは?
DFの足が届く距離が約1mとすると、DFの1m以内でボールを持っている人はマークされていると感じるでしょう。
しかしあなたの1m前でボールを持っている選手がメッシならどうですか。奪う自信はありますか?つまりこの状況はメッシにとってはフリーといえるでしょう。
フリーとは?
サッカーではキックオフ、フリーキックなどでプレーを始めるとき、相手は9.15m離れなければいけません。なので一般的には9.15m以内に相手がいなければフリーといえるでしょう。
では本当に9.15m離れてさえいれば自由にプレーできますか?
近年でプレッシングといって思い浮かぶのはリバプールでしょう。
スピードのある3トップであるマネ、フィルミーノ、サラーとクロップ監督の特徴である激しいカウンタープレス、通称ゲーゲンプレス。2019年にはUEFAチャンピオンズリーグで優勝しています。
仮にそのような3トップを相手にしたとき、何メートルあればフリーだと感じられるでしょうか。

「9.15m以内に誰もいない!フリーだからボールを運べる!」と思って、2人の間をドリブルできますか?プロの選手でも自信を持って運べるDFはそういないでしょう。
つまり運ぶドリブルをするのが理想ではあるけど、実際に行うのは難しいということです。
まとめ
・抜く、キープ、運ぶの3つのドリブルがある
・フリーのときは運ぶドリブルを忘れずに
・ただ実際に行うのは簡単ではない
フリーならドリブルでボールを運ぶ。当たり前のことに感じるけど、実際には難しいことがわかったのではないでしょうか。しかしこういった小さな優位性が結果につながるので注目してみてください。
この動画は、FIFAワールドカップ26 AFCアジア最終予選バーレーン戦、DF伊藤選手の運ぶドリブルからゴールにつながったシーンです。見逃してしまうようなプレーなのでリプレイして見てください。


