スポーツに限らず未経験者というのは、経験者からすると一目でわかります。 そこには経験者にはすぐにわかる違いが隠されています。わたしはサッカー経験者です。未経験者に蹴り方を教えることは何度もありました。その中で間違った蹴り方の共通点を見つけました。
今回はその中でも1つのポイントに絞って解説します。
ボールを蹴るポイントは合っている
サッカーでは色々なキックの種類があります。よく使われるのは2種類。 足の内側で蹴るインサイドキックと、足の甲で蹴るインステップキックです。
インサイドキックはパスを出すときに使います。当たる面が広く、正確なパスを出すときに使います。トラップをするときもここに当てて止めます。
インステップキックはシュートなど、強いボールを蹴るときに使います。脚を横に開くインサイドキックと違い、自然に脚を振れるので、強いキックが可能になります。
サッカーでは9割がインサイドキックでプレー可能です。「シュートはゴールへのパス」とは、サッカーの神様ジーコの言葉で、実際にプロの試合でもインサイドキックでのシュートを得意とする選手は多いです。元フランス代表アンリや、ドイツ代表クロースがその例です。
サッカー未経験者でも教える前からどこで蹴ればいいか知っている人が多く、毎回正確に蹴れるとは限りませんが問題ないことが多いです。
違いは足’以外’の部分
ボールを当てる部分が正しいならどこが違うのでしょうか。正解は「それ以外の身体全体」です。
フォームを見れば経験者かどうかわかります。未経験者のフォームは不安定で、そのせいで蹴った後に変な方向に身体が向いていることが共通しています。
フォームを改善すればより上手く蹴れるようになるとして、具体的にどこが違うのでしょうか。
軸足に体重を乗せて蹴る
未経験者の蹴り方の共通点は、軸足に体重が乗っていないことです。軸足とはボールを蹴るほうと反対の足です。
サッカーは片足のスポーツと言われます。他のスポーツは手でボールや道具を扱うので、足の役割は身体を支えることです。サッカーではその足のうち一方をボールを扱うために使うので、片足で身体を支えなくてはいけません。この片足で立つ動作に他スポーツのプレイヤーは慣れていないので違いが出てしまうのです。
未経験者のボールの蹴り方は軸足に体重が乗っていません。そのフォームでは蹴ったあとにすぐ蹴り足を地面に着いてしまいます。そのせいでフォロースルーが不安定になります。
ではどうすれば改善できるのでしょうか。
サッカーの基本を覚えるにはリフティングが最適
走りながらボールを蹴ると、蹴り足を前に着地してしまうと思います。それを改善するにはリフティングが最適です。真上に蹴る動作だと足を前に着くことが不可能です。なので自然と軸足に体重を乗せたキックができるようになります。
以下の記事に似た話がありました。(欧州サッカー最先端の筋トレ事情。大工が釘を打つ動作に極意がある/footballista.jp)オランダでフィジオセラピスト(理学療法士)をされている方へのインタビューです。 要約すると、からだの動かし方を改善するには膝の位置や背中など、からだへ意識を向けさせるのではなく、自然と正しい動きになる運動をさせるほうが有効という内容です。
軸足に体重を乗せるときに「片足で立って蹴ろう」と教えるのではなく、自然とその動作になるトレーニング、つまりリフティングをすると習得しやすいということです。野球の元巨人桑田投手はからだ全体を使って投球することを教えるときに「タルを投げるように」と指導するそうです。
リフティングといえば地面に落とさずに何回できるかが大事なイメージがありますが、練習するときは気にする必要ありません。1回蹴るごとにワンバウンドさせてもかまいません。私もサッカーを始めたころはリフティングが苦手でしたが、このワンバウンドさせる方法を知ってからはリフティングができるようになりました。
応用編:「軸足を抜く」と体重が乗ったシュートに
キックの基本は軸足で身体を支えて蹴ることです。しかしシュートを撃つときは蹴り足に体重移動させることで、低く正確なシュートを撃つことができます。この方法は「軸足を抜く」とよばれています。
これはまず基本ができていないとできません。なので未経験者は知識として知っておく程度で十分です。いつか役に立つかもしれません。
まずボールが足に当たるまでは、上で説明した方法と同じで軸足に体重を乗せます。基本の蹴り方では蹴った後のフォロースルーのときも軸足に体重が乗っています。応用編ではフォロースルーのときに蹴り足に体重移動することで強く低いシュートが撃てるようになります。シュートを撃ったあとは蹴り足から着地しています。
昔は日本では「軸足を抜く」蹴り方はあまり教えられておらず、海外のサッカー選手の真似をして習得するしかありませんでした。私もチームメイトとよく元ブラジル代表ロベルト・カルロスの蹴り方を真似していたのを覚えています。今では日本でもこの蹴り方は常識となっています。
まとめ
蹴るときのフォームで一番大事なのは、完全に軸足に体重を乗せる、言いかえると片足で立つということです。これがサッカーというスポーツの基本です。
サッカーは楽しむのが一番なので気にしすぎる必要はありませんが、知っておくと上達の助けになると思います。