サッカーでは外国籍枠というものがあります。 「外国籍の選手ばかりで自国の選手が出られない」ことにならないよう、ルールで制限されています。
しかしヨーロッパのサッカーを見てみると、多国籍のチームをよく見かけます。
例えばスペインの名門レアル・マドリードだと、スペイン以外にも、 ドイツ、フランス、ブラジル、クロアチア、ベルギーなど様々な国の代表選手が所属しています。
スペインの外国籍枠は3人です。しかしなぜ多国籍のチームでもいいのでしょうか。
EU加盟国の国籍を持つ選手は外国籍にならない
EU(ヨーロッパ連合)とは、ヨーロッパの約30か国からなるグループです。
共通の通貨・ユーロが使われたり、パスポートなしで加盟国間を移動できます。 加盟国間では就労の制限がされないのですが、これがサッカーにも適用されます。
例えばスペインのチームにドイツ人選手が入団するとします。この場合ドイツはEU加盟国なので、外国籍枠ではなく自国の選手として扱われます。このおかげで多国籍のチームでもルール違反にはなりません。
実は最初から今のルールだったわけではありません。裁判の末、 EU規約に反していると認められたため、1995年以降はEU加盟国の選手は外国籍枠ではなくなりました。その判決は「ボスマン判決」とよばれています。
EFTA(欧州自由貿易連合)なども対象
EU加盟国以外でも自国の選手として扱われることがあります。スペイン、イタリアでは、EFTA加盟国(スイス、ノルウェーなど)も外国籍枠ではありません。
さらに各国で特別に認められていることもあります。例えばポルトガルではブラジル人選手が、スペインではトルコ人選手が外国籍枠ではありません。
EU加盟国との二重国籍
上の説明をまとめるとヨーロッパにおける外国籍選手とは、EUなどに加盟していない国の選手のことです。 南米、アフリカ、日本などが当てはまります。
しかしそういった国の選手でも、EU加盟国の国籍を取得すれば外国籍枠ではなくなります。
例えばブラジル人はスペイン国籍を取得しやすく、2年半の滞在で取得可能です。 元ブラジル代表のロナウドや、スペイン代表のジエゴ・コスタなどです。
他にはイタリア系アルゼンチン人がイタリア国籍を取得するケース(カンビアッソ、サネッティなど)や、 アフリカからフランスへの移民がフランス国籍を取得するケース(ドログバなど)が多いです。
外国籍枠でなくなれば出場や移籍に有利に働きます。そのために二重国籍になる選手も多いです。
自国枠
実はドイツでは、外国籍枠はありません。その代わり自国や自クラブ選手に関するルールがあります。
ドイツ国籍の選手12人
自クラブで育成した選手4人(国籍は問わない)
まとめ
ヨーロッパでは基本的にEU加盟国の選手は外国籍枠になりません。 そして自国選手を守るための仕組みもあるということです。海外サッカーを見るときは、選手の国籍にも注目するとおもしろいかもしれません。