テレビのサッカー中継の解説者は、サッカーを知らない人にもわかるよう専門用語をあまり使わないようにしているそうです。それでもなかにはわからない用語があるのではないでしょうか。
今回はそのうちの一つ「ボランチ」について、わかりやすく解説していきます。
ボランチとは「センターハーフ」というポジションのこと
サッカーのポジションはGK、DF、MF、FWの大きく4つにわけられます。
DF、MF、FWはそれぞれその位置からバック、ハーフ、トップともよばれます。「2トップ」や「4バック」という言葉をきいたことがあると思います。
図にするとこうなります。
さらに中央(センター)にいる選手とサイドにいる選手にわけることができます。例えばサイドのDFは「サイドバック」、センターなら「センターバック」とよばれます。
図にするとこうなります。
ボランチはこのセンターハーフ(中央にいるMF)のことを指します。
このセンターハーフのことをブラジルではボランチ(舵取り)とよび、Jリーグが始まった90年代以降は日本でもこうよばれるようになりました。
ボランチは元々は守備的MFとよばれていた
ボランチは元々は守備的MFとよばれていました。センターハーフのうちでも攻撃の中心となる選手は攻撃的MF、相手の攻撃的MFをマークする選手は守備的MFとよばれていました。
しかしこの「守備的MF」の選手は必ずしも守備的な選手ではありません。日本代表で言えば遠藤保仁選手や柴崎岳選手のようなパスが得意で攻撃の中心になる選手もいます。「守備的MF」ということばではこのポジションを表せないので、ボランチという名称が定着しました。
文字通り「チームの中心」のポジション
ボランチは、図でわかるようにチームの中心にいます。そして役割でもまさにチームの中心で、攻撃、守備のどちらでも重要なポジションです。
さらにボランチは自分のポジションでプレーするだけでなく、他のポジションが困っているときには助けにいくことも必要です。ボランチの仕事は多岐にわたるので、ここではその中でも重要な次の4つについて解説します。
(1)MFの位置での攻撃
(2)MFの位置での守備
(3)FWを助けにいくとき
(4)DFを助けにいくとき
(1)MFの位置での攻撃:攻撃の起点となるパス
ボランチの役割の1つが攻撃の起点となるパスです。チームによっては上で説明したようにセンターハーフ(中央にいるMF)を攻撃担当であるトップ下と、攻守両面で仕事をするボランチにわけます。
パスというとシュートの前の「アシスト」を思い浮かべるかもしれません。しかしそういったパスは主にトップ下やサイドの選手の役目です。ボランチはそういった「アシストをする選手へのパス」が多いです。こういったアシストではないが攻撃において重要なパスを「攻撃の起点となるパス」といいます。
(2)MFの位置での守備:相手チームのトップ下をマーク
守備的MFのところで説明したように、ボランチはトップ下の選手をマークする必要があります。攻撃の中心となるトップ下はチームで一番上手い選手であることが多いので、高い守備力がもとめられます。
(3)FWを助けにいくとき:フリーの状態でパスを受ける
攻撃は主に前線の選手が行います。しかし前線の選手がマークをされて攻撃が上手くいかないこともあります。こういったときはボランチが攻撃参加することでフリーでボールを受けることができます。
もしボランチがマークされたとしても他の選手がフリーになるので、それだけでも効果があります。
(4)DFを助けにいくとき
DFが攻撃参加したときや、相手に攻め込まれているときはDFの一員として守備に参加します。サイドバックが攻め上がったところをカウンターで攻められたときはボランチがカバーをしたり、相手に攻め込まれて元々のDFの人数では足りないときはDFと一緒に守備をします。
この他にもその場に応じていろいろなことをする必要があります。この役割を1人でできるスーパーな選手はまれなので、2人や3人の選手で役割分担するのが普通です。
まとめ
・ボランチとはセンターハーフ(中央にいるMF)のこと
・センターハーフのうち後ろのポジションで、元々は守備的MFとよばれていた
・位置、役割ともにチームの中心。MFの位置だけでなく他のポジションにも助けにいく
フォーメーションによっては別の呼び方をすることもあります。詳しくは以下の記事からどうぞ。